当事者が伝える「こんなとこにもバリアフリー」 優先席編(つくばエクスプレス3000系)

 はじめまして。gente編集部の大森です。脳性まひで電動車いすユーザーの私が、生活する中で感じたエピソードとともに、当事者目線で身近なバリアフリー情報をお伝えしていくこのコーナー。第一回目の今回は、電車の優先席についてです。

 

 東京の秋葉原から茨城県のつくば間を走るつくばエクスプレス。20203月から運航しているTX3000系には、すべての車両にオレンジ色の優先席があります。この席は他の座席よりも座面が高く、他の座席にくらべて浅く腰かけるように作られています。実はこの形状のほうが、ケガなどで足腰を痛めた人などにとって立ち上がりやすく、乗り降りしやすいように配慮された座席となっています。利用者からの「こういう席を作ってほしい」というリクエストに応えて採用されたそうですが、これによって障害者やケガを抱えた人など、さまざまな人が利用しやすく今まで以上にたくさんの人にとって乗りやすい電車となっています。

 

赤と青の配色が特徴のTX3000系。他のつくばエクスプレスの電車は赤1色の配色なので、パッと見て区別しやすいです。

他の座席との違いがわかりやすく表示されています。立ち座りしやすいように作られている座席だと、多くの方に知ってもらいたいですね。

 

 実は私のような車いすユーザーも、車いすから電車の優先席に座り替えることがあります。私は脳性まひですが、車いすを使っていても全く足が動かない、立てないというわけではないんです。手すりにつかまれば立ちあがることもできますし、この優先席にもひとりで座り替えられます。

 

 私の場合は30分以上車いすに座り続けていると、お尻や腰が痛くなってとてもつらいんですよね。でもこのオレンジ色の優先席は車いすにくらべて柔らかく、座り心地がいいので座り替えると痛みがやわらぎます。このように座面が高い席だと、私のように体幹の弱い人にとっては背筋を伸ばして座った姿勢を保つのが大変なんですが、この優先席には肘かけや手すりがあって、それにつかまれば姿勢も安定します。だから長時間電車に乗るときは、できれば優先席に座り替えたいんです。

 

優先席にはひとつひとつの座席に肘かけがあります。これを支えにできるので、私のように体感が弱く姿勢を保つのが大変な人でも座面の高い席に座りつづけていられます。

 

 ただ、ちょっと困るのが車いすの置き場所です。介助してくれる人と一緒に電車に乗っていれば、座り替えた後で優先席の向かいにあるフラットな優先スペースに、私の車いすを置いてもらえます。でもひとりで電車に乗る場合には、私は優先席には座り替えずに、車いすに乗ったままこのフラットなスペースに車いすを停めています。優先席への座り替えはひとりでもできますけど、降りた車いすを向かい側のフラットなスペースに置くことは、私にはできないんです。だからひとりで電車に乗った時は、車いすに乗ったままお尻や腰を動かして、体が痛くならないようにストレッチをしています。

  TX3000系はすべての車両にこのフラットな優先スペースがありますが、既存のTX1000系、2000系には、6両編成うち2か所にしかありません。それが外観からわかるように、このフラットな優先スペースがある乗降口には青いシールが貼ってあります。床面には車いすとベビーカーの表示が描いてあり、車いすユーザーのほかにも、ベビーカーと一緒に乗る人、大きなスーツケースを置いている人も見かけます。

 

車いすとベビーカーの表示が描かれた優先スペース。TX3000系にはすべての車両にこのスペースが設けられていますが、TX1000系とTX2000系では6両編成のうち2か所だけです。

■ ホームドア外側に、車いす優先スペースがある乗降口がわかるように表示されています。ベビーカーを使う人や大きな荷物を持った人にとっても、助かりますね。

 

 こういう優先スペースがもっと増えて、誰がいつ、どういう状態で電車に乗っても、乗りやすい席を自分で選べるようになるといいなぁ、と思いますね。電車にはたくさんの人が乗ります。人によって座りやすい席は違いますから、これからもっともっと、いろいろな形状の席やスペースが増えてくれたらいいなと思います。

 

 いかがでしたか?これからも私の目線で感じた、身近なバリアフリーについて皆さんにお伝えできたらと思いますので、どうぞよろしくお願いします。