「自分とは違う人」の姿から、多様性の気づきを得る。 genteの取材記事から考える「D&I勉強会」を実施しました。


「gente」がこれまでに蓄積してきた取材情報は、いくつかの号を関連づけて別の角度から読み解いていくと、障害についての知識にとどまらないさまざまな気づきや学びが見えてきます。それをまとめてパッケージにしたものが【genteに学ぶ企業・団体向け勉強会コンテンツ】です。その勉強会のひとつ「D&I勉強会」は、これまでに取材してきた「自分とは違う人(障害者)」の姿をケーススタディとして、多様性について気づきを得るのに役立つコンテンツです。さまざまに活動する障害者の姿から、自らの環境における人材活用について考えるきっかけともなる学びのコンテンツとなっています。先日、以前より「gente」を定期購読してくださっているエクスポート・ジャパン株式会社様にて「D&I勉強会」を実施いたしました。その実施報告と受講者アンケートの内容をご紹介します。
※なお本来は対面実施が基本の勉強会ですが、今回は実施先様のご都合により特別にオンライン実施いたしました。
【実施概要】■オンライン実施/約135 分:ケーススタディ×3、グループワーク×3

【1. 勉強会全体の満足度について:回答8

ご回答をいただいた受講者様のうち75%が満足度8以上の回答となり、多くの方が「受講してよかった」ととらえてくださっています。「gente」の記事、つまり実例に基づいたケーススタディが持つリアリティによって、よりわかりやすく身近に感じられたという受講者様が多く見受けられたように思います。一方でD&Iについての知識や体験を持ち、学びを進められている方にとっては少々物足りなさを感じられたように、この勉強会は「言葉や概念については知っていても、普段D&Iについて考えたり、感じる機会はあまりない」という、これから学んでいきたい方々に向いた内容となっています。
【受講者様の声】
【評点10】取材でインタビューした方々の経験とエピソードがあり、現実味が増しました。さまざまな職場に活躍している方々の話なので、幅広さがあって非常に分かりやすかったです。
【評点10】普段の業務とは全く違う視点からの学びがあり、目の前の仕事よりも重要な気づきがありました。前回の研修(※)から自分の得意・不得意について理解することを少しずつやっていますがなかなかまとめられず、今回のようなケーススタディがあると参考になりました。最近友人に発達障害があったことがわかり、それまで接しているときは個性としか思っていなかったですし今もそうなので、「障害」という括りではなく「得意・不得意」という考え方や見方を引き続き持ちたいと思います。
(※「障害者雇用に学ぶチームビルディング」勉強会受講済)
【評点9】今まで自分が良くない点に注目しがちでしたが、2回の研修(※)を通じて視点チェンジの必要性に気づきました。良い点に注目して業務をアサインすればその方の強みを活かせるので、チーム全体の生産性が上がることにとても共感しました。
(※「障害者雇用に学ぶチームビルディング」勉強会受講済)
【評点8】抽象的に考えるのは理想的で簡単ですが、ケーススタディで取り上げた方々を実際に自分の会社、チームに入れるとした時に具体的に何が期待をできるか、どのような対応が必要かを考えるのは難しく、真剣に考える必要性を感じました。
【評点6】D&Iに対して知識がある程度あるメンバーには、少し物足りなさを感じました。ケーススタディは企業にあわせたケースを用意することで、より自分ごととしてディスカッションできるかと思います。

2.  勉強会を通して得た学びについてお聞かせください(複数回答式)
A.  障害の社会モデルについて知った/理解が深まった…62.5%
B. 障害者のイメージや障害理解について、ポジティブな変化があった…62.5%
C. 人材の多様性について学びがあった/理解が深まった…87.5%
D. 個性や多様性を重視した職場環境整備の必要性を感じた…87.5%
E. 同僚・上司・部下との対話、相互理解の重要性を感じた…87.5%
障害についての学び以上に、その姿を通して多様性についての理解が深まり、さらに自らの環境について省み考えるきっかけとなったのがよくわかる回答結果となりました。今回の実施先、エクスポート・ジャパン様は外国籍人材や女性の活躍が進む、多様性に富んだ就業環境ではあるのですが、勉強会の実施によって日常業務を離れて考える機会を作り、現在の環境にはない事例を学ぶことで、より幅広い視点から多様性についての理解を深める機会となったことが伺えます。

3.  勉強会を通して得た学びや印象に残った内容、ご感想をお聞かせください。
【受講者様の声】
■ケーススタディで紹介された「ギターを買ってからどうやって弾こうか考える」というエピソードが、「できる・できないではなくて違うだけ」というメッセージを象徴していて印象に残った。
ケーススタディで紹介された方々と自分たちが一緒に仕事をするとしたら、どんな仕事をしてもらえるか、どんな関わり方をしたらいいかをグループワークで意見を出し合い考えることで、自分にはない視点や意外な業務のアイデアに気づけたりしました。記事を読むだけではできない、面白い体験でした。
■20分程度のワークタイム内でも、ケーススタディで紹介された方々にどのようなお仕事をお願いできるか、能力を発揮させるには何が必要かについて、かなり具体的にイメージを湧かせてディスカッションしアイデアが出てきました。実際に障害をお持ちの方とチームとして働くことも、これまで思っていたよりもずっとハードルが低いことなのではないか、と気づきました。
ケーススタディとワークで行った「特徴を知る」→「役割を考える」→「必要な方法を考える」とフローが、今後会社でも社会でもどこでも活かせることが分かりました。
■具体的なケーススタディがあったことで、わかりやすかったです。
ケーススタディを踏まえて具体的に検討させる所は非常によかったです。
今回受講いただいた皆様に、全体的な感想や印象に残った内容についてお聞きしました。日常業務を離れ、普段あまり考える機会のない話題について社員同士で話し合う機会として勉強会が良いきっかけとなると捉えた方が多いようです。この勉強会は実例に基づいたケーススタディから多様性について実感のある学びを得ていただくとともに、自らの環境を省み幅広い視点を持つきっかけとし、社内で意識を共有することにつなげていただきたいという狙いがあります。今回受講いただいた皆様にもそのような機会としていただけたことが、いただいた回答から伺えました。

4.  今回参加しなかった同僚・上司など社内の方々に、この勉強会の受講を勧めたいと思いますか
「この勉強会での学びを社内で共有したいですか」という内容の質問に対し、ご回答をいただいた受講者様のうち半数が満点、満足度8以上の回答が75%と多くの方が「社内の方に受講を勧めたい」と感じていることがわかる結果となりました。「gente」の記事基づいた学びを社内で共有することに価値がある、と感じてくださったようです。一方でD&Iについての知識がある方がさらに学びを深めるためには、もう少し社内の状況などを反映した内容が必要であると感じられたようです。このあたりは勉強会を実施する前に現状把握ができれば、内容をアレンジして行うことも可能です。
【受講者様の声】
【評点10】視野が広がり、多様性やダイバーシティインクルージョンについての理解が深まることで個の力が発揮でき、会社の価値も大いに発揮できるようになると思います。
【評点10】さまざまな特徴・特性を持つ人、こうした勉強会に興味がある人・ない人も出来るだけ大人数で参加し、意見交換したり気づきを得たりすることが大切だと思います。
【評点10】多様性について自分事として考えるきかっけになると思うので、受講したほうがいいかと思います。
【評点9】受講すると考える視点が変わると思います。
【評点5】弊社管理職の場合においてはリテラシーがあるので、もっと踏み込んだ内容が必要となります。
当日の様子。エクスポート・ジャパン様は女性社員や外国籍社員の比率が比較的多く、働き方もリモートワークが中心など、多様性に富んだ就業環境という印象の企業様です。
今回受講されたエクスポート・ジャパン株式会社様は、女性社員や外国籍社員の比率が高く、多様性に富んだ就業環境という印象の企業様なのですが、高い満足度を感じられた方が多かったのは、業務を離れあらためて多様性について考える機会として勉強会が有効だったこと、現在の環境にはない事例をケーススタディで学び、さらに幅広い視点を得る機会とできたことなどがあげられるでしょう。一方で、残念ながら今回の内容では物足りなさを感じられた方もいらっしゃいましたが、そういった方々の体験や考えをあらためて社内で共有する機会としては、勉強会の実施は有効な手段となるかと思います。
D&I勉強会のほか、「障害者雇用に学ぶチームビルディング勉強会」「ダイバーシティ・ミーティング」などgenteの取材情報や蓄積してきたリソースを活用したコンテンツがありますので、合わせて受講いただくことでさらに新たな視点や気づきを得て、現在の就業環境や人材活用、さらには仕事だけにとどまらずさまざまな場面において自らの価値観をアップデートするきっかけを掴めることと思います。ぜひ受講をご検討ください。